サラリーマンのボーナスが夏と冬に支給されるワケ

 

  今年も残り1カ月となり、ボーナス支給を見据えた商戦が本格化してきました。ところでボーナスといえば、一般的に夏と冬の年2回。春や秋に支給されるケースはあまり聞きませんよね。なぜ夏と冬なのでしょうか?

 

ルーツは江戸時代の「餅代」

  海外にもボーナスを支給する習慣はありますが、夏と冬に支給するのは日本特有。これは江戸時代の風習「餅代」の名残だと言われています。

かつて商家で年季奉公する奉公人は、主人の家に住み込んで働いていました。そして、奉公人が盆や正月に田舎へ帰るとき、主人は「餅代」と称して小遣いを与えたり、「身ぎれいにして帰りなさい」と新しい着物を与えたりする風習があったのです。これが時代とともに変化して、夏と冬に支給する現在のボーナス制度になったと言われています。

 

なお、ボーナスは法律で支給が義務付けられているわけではなく、あくまでも企業の任意によるもの。景気の良い企業では「春や秋にも支給する」なんていう、うらやましいケースもあります。

 

日本のボーナス制度は恵まれている?

   では、海外のボーナス事情はどうでしょうか?そもそも「ボーナス」の語源はラテン語の「ボヌス(bonus)」で、「良いもの」「財産」という意味があります。ローマ神話に登場する成功と収穫の神「ボヌス・エヴェントス(Bonus Eventus)」に由来し、「神様からの思いがけない贈り物」というニュアンスがあります。

 

そのため、欧米では個人の業績に対して与えられる「報奨金」という意味合いが強く、特にアメリカでは企業の利益に貢献したと認められた一部の人にしか支給されません。一方、イタリアやオランダではボーナス支給が法律で義務付けられていたり、中国・台湾・タイでは年末に支給する習慣があったりと、国によってさまざまです。

 

ただ、夏と冬の年2回、しかも従業員全員が当たり前のように受け取れる習慣があるのは日本だけ。もらえる額はともかく、制度自体は日本が恵まれているのかもしれませんね。