寒いと体が震えるのは体温維持のため。では鳥肌は…?

 

 寒さを感じた時、身体が勝手に震えたり歯がカチカチと鳴ったりすることがあります。この誰もが経験したことがある現象に、れっきとした名称があるのをご存知ですか?

 

1分間に最大250回の震え

 寒さを感じて体が震えることを医学用語で「シバリング」といいます。面白いことに北海道弁の「しばれる(=とても寒い)」と言葉の響きが似ていますが、もちろん日本語ではなく「shivering (=震え)」という英語です。

 ヒトは体温が低下すると脳の視床下部から指令が出て、自分の意思とは関係なく全身の筋肉が小刻みに震えます。筋肉を動かすことで熱をつくり、体温を維持しようとするのです。震えの回数は1分間に最大約200~250回にものぼり、安静時に比べて6倍もの熱を作りだせると言われています。

 

高熱が出た時もゾクゾクして震えることがありますが、これもシバリングによるもの。体温が高いと気温との差が大きくなり、寒さを感じて震えるのです。

 

鳥肌が立つのは祖先の名残

 では、同じく寒さを感じたときに起こる「鳥肌が立つ」現象はどうでしょうか?実は、鳥肌が立つことは人間には何の役にも立ちません。

 体毛がある動物が寒さを感じると、毛を立たせることで毛と皮膚の間に空間をつくり、そこに出来る暖かい空気の層によって寒さから身を守ります。この時、毛の根本にある筋肉がギュッと縮むため、皮膚が持ち上がって小さなイボのようなものが出てきます。これが「鳥肌」です。

 

人間も太古は多くの体毛で覆われていたので、鳥肌が立つことは寒さをしのぐのに役立っていました。しかし、進化してすっかり体毛が減ってしまった私たちにとってはまったくの無意味。皮膚がブツブツと盛り上がる現象だけが、昔の名残として残っているというわけです。

 

 

今年の冬はラニーニャ現象の影響で、寒さが厳しく大雪になりやすいという予報が出ています。シバリングを起こしたり鳥肌が立ったりしないよう、万全の防寒対策で暖かな冬をお過ごし下さい。