ようかんに「羊」の字が使われている驚きの理由
日本人にとっておなじみの和菓子「ようかん」。漢字で書くと「羊羹」となりますが、「羊(ひつじ)」という字が使われていることを疑問に思ったことのある人も多いはず。なぜ甘い和菓子とは関係のなさそうな「羊」という字が使われているのでしょうか?
ルーツはまさかの羊肉スープ
羊羹はもともと中国の料理で、鎌倉時代に禅宗(仏教の宗派の一つ)とともに日本に伝来したと言われています。しかし、当時の羊羹は現在のものとは似ても似つかぬ料理でした。
そもそも羊羹の「羹(あつもの)」という字には「熱い煮汁」という意味があります。つまり、羊羹は羊の肉を使った熱い煮汁。なんと羊肉を煮込んだスープだったのです。
なぜ中国ではスープ料理だったものが、日本で甘い和菓子に変貌したのでしょうか?
仏教の影響で甘い和菓子に
中国から禅宗とともに伝わった羊羹ですが、ここで宗教上の壁がありました。日本の仏教では肉を食べてはいけないという戒律があったのです。
そこで羊肉の代わりに使われたのが小豆(あずき)。小豆を羊の肝の形に似せて蒸しあげたものをスープに入れることで、日本風の羊羹を生み出したのです。やがて時代とともに甘みを加えるようになり、みなさんもご存じの現在の羊羹となったというわけです。
普段何気なく口にしている羊羹ですが、まさかルーツが羊肉のスープだったとは驚きですね。ちなみに10月8日は「ようかんの日」。羊羹を頂きながらその歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?